今日3月11日は特別な想いの日。
10年前の東日本大震災のとき、この作品が産まれました。
あの当時買ってくださった方に心より感謝を申し上げます。
東北地方を襲った未曾有の大震災。
全国の誰もがいまだ経験したことのないあの災害で
私達はそのど真ん中の渦中にいました。
あの当時のことはここで書ききれないことをたくさん経験し、
そして果てしない瓦礫を目の前に、しばらくはどうすることもできず、
ただただ呆然とするばかりでした。
実際あの当時の起こった出来事をちゃんと画像やメディアで確認できたのはだいぶ経ってから。
あの当時は軽く一週間ほどお風呂なんて入れなかったし、
もちろんお化粧をちゃんとして出歩けたのは3ヶ月くらい経ってからだったし
その間は、
住まいはもとより
電気やガスもままならず、いろんな事がありすぎてどう動いていたのかも無我夢中でいっぱいいっぱいでした。
今後私達はどうなるのだろう。
店や工房はたたんでしまうのか。
そんな不安に押し寄せられて身を縮めていた日々。
毎日ここ石巻に
世界から全国から、たくさんの方が応援にきてくれました。
あのときの光景は忘れません。
台湾からもたくさんの義援金を頂いた。
そしてあの当時、
台湾から大勢の人が来てくれて彼らから直接大きな封筒で手渡しで温かい言葉とともに
義援金をいただいたのも忘れられない光景です。
今でもあのことを思い出すと涙がでます。
あの当時は全国、全世界の皆さんに支えられて生きていけました。
友人らとやっと顔を合わせる事ができ
まずは一歩を踏み出していこうと話し合ったのは確か、震災があった2ヶ月後あたりだったと思います。
今後もしかしたら仕事ができなくなるかもしれない不安を払拭するのに
あの頃は反射神経が働いたのだと思います。
自分たちが今できること
生活の糧として自立していける一歩はなにか。
友人らと企画を練り、
出来上がったのはこの『福幸の芽』(ふっこうのめ)という作品。
手のひらサイズのかわいい置物で、
陶芸家の薫陶土(くんとうど)さんに陶器で豆の形をした器を手捻りで作ってもらい
芽の雰囲気は羊毛作家のAM(defi)さんに羊毛を使用して芽を作ってもらいました。
撮影スチールなどはponticのキエさんに依頼を。
企画立ち上げ、発送その他の手配は私が取り仕切り全国への発送を開始しました。
その当時は今ほどSNSも活発ではなく、私自身もスマートフォンをやっと手にし、ましては震災時に紛失し
しばらくは使えなかった記憶がありますが、
あのときはなぜがたくさんの方に応援してくださり、拡散やテレビも取り上げてくださったので
全国からそして、お一人で何個もご注文いただいたり、東京の店舗さんに委託引き受けてくださったりと
200個以上は作ったと思います。
ひとつひとつ本当に一からの手作りで、あまり多くも増産できず、
そもそも物資もそんなになかったときで、
どうやってあのとき爆発的なエネルギーが私達から産まれていたのは今でも不思議です。
やっと発送にこぎつけられたのは、震災後の夏がもうじき来る6月下旬でした。
今でもあのときのことは忘れない。
そして
あのとき支えて応援してくださったみなさま。
買っていただいたからとかじゃなく
そんなレベルじゃなく
大きな意味で支えてくださり
こうしてあるのは、あのときの想いを寄せてくれたすべての皆様です。
いま10年が経過し、
この10年が早かった、遅かった、といろんな様々な想いがあるのは人それぞれです。
今でも悲しい想いをいつも心に共有して寄り添って生きています。
今こうして生かさせていただいている私達ができること
大それたことは決して言えませんが、とにかく笑顔でいられること。
そしてそれを伝染し連鎖のタネを蒔くことしかできません。
この芽のように今私達もやっと、芽がちょこんと出てきたように思います。
こうして
あのときの
小さな小さな私達のアクションの証がちゃんとここにあります。
感謝でしかないです。
この作品を見るたびに当時を振り返り、パワーをもらっています。
本当にありがとうございました。
また一歩一歩。
恩返しができるように精進してまいります。
今日という日に
全世界とともに祈りを込めて。
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