まるで山全体が、梅の木とお茶の木に覆われているかのような月ケ瀬は、
きっと今頃は梅の花も満開で、いい香りに包まれている候でしょう。
それにしても願望は人に話してみると、本当に叶うってことを実感させられている今回の旅。
こうして月ヶ瀬に呼ばれたんですね、きっと。
「森の茶論」さんは大きな暖炉と木のぬくもりが感じられる素敵なお宅。
温かい笑顔の Iさん 夫妻にもてなされ、ちらつく雪にすっかり凍えた身体もじんわりと溶けてゆきます。
すっかり温まったところで、そこから車で数分の『月ヶ瀬健康茶園』さんへ向かいます。
大きな日本家屋のお屋敷が茶園さんの事務所にもなってました。
代表の岩田さん、ルナさんらが出迎えて下さり、
お茶づくりについてのお話を詳しくお伺いすることができました。
月ヶ瀬健康茶園さんでは、1984年から農薬も化学肥料も一切使わない有機栽培のお茶づくりに取り組んでらっしゃいます。
さらに2011年からは動物性由来の肥料を使わず、
地域に育つ自然の草木を、茶園に施すことを主体とした栽培に切り替えたそうです。
自然環境のリズムの中で、茶樹本来が持つ自らの生命力で「お茶がお茶らしく育つこと」を意識し、
なんと、自社茶園34か所以上もある茶畑では驚くことに、それぞれの土質に合わせた品種を栽培しています。
まるでそれぞれの箇所、茶畑がわが子同然の如く、丁寧に惜しみなく手入れをし、育てあげている。
今現在は健やかに青々ときらめく茶葉の波も、
過去の継続していかれる中で、
それぞれの茶畑の環境の違いによって、時に一部分の茶樹の育生の困難に見舞われたり、
たくさんの試行錯誤を重ね、絶えず観察力、土の環境改善のたゆまぬ努力によって
現在のおいしい茶が出来上がっている…。
丁寧にお話して下さった岩田ルナさんの、お茶に対する並々ならぬ熱い想いを目の当たりにし、
わたしも心揺さぶられる感動を抱きました。
茶園さんのリーフレットにある、
「美味しい水を飲むように、スッと体に馴染んでいくような、何杯でも飲みたくなるような、おいしさのあるお茶をお届けさせて頂きたいと考えています。」
シンプルな言葉ですが、ここまで行き着くまでの歴史を考えると、この言葉の奥深さを感じ、
さらりとしていながらも、生産者さんのプライドと茶に対する愛情を強く感じずにはいられませんでした。
真摯に向き合うルナさんの発する言葉ひとつひとつが染み入り
「茶が世界を変える」のではないか…と。
スタッフの方と軽トラックに同乗し、何ヶ所かの茶園を見学。
急な斜面、ものすごい細道。
さすが、茶畑の山々。
過去に、台湾の杉林渓や阿里山まで行って茶畑研修にいきましたが、こちらの方が結構なサバイバルな獣道でした。
途中、すぐ崖のところで車輪がぬかるんで焦りましたが、スタッフの方は、「毎日来てるんで~」と、さらり。
茶畑を前に、
月ヶ瀬の山の懐にぽっかりと包まれ、まるで胎児に戻ったような不思議な感覚におちいりました。
環境、土の栄養、天のめぐみ、そして人の手。
ここで作り出されたものが、この世に出て、しあわせの連鎖が広がる。
ふと、
自分も子を育てる親として思い返すことは、
先のフレーズの「お茶がお茶らしく、育つこと」が、
「人が人らしく、育つこと」といい変えられるのではないか。
実は、そのまま自分の子育てにも当てはまるのではないかという事。
まだ、産まれたばかりは、環境を整えてあげなければならない。
栄養ある土(食)をあたえてゆき、そこからは自らの生命力で育っていく。
そしていつまでも見守り続ける。
そんな、至極当たり前のことだけど、こんな大事なことも月ヶ瀬健康茶園さんから教わりました。
チーム岩田さん、そしてスタッフさんたちと貴重なひとときを過ごさせて頂き、さらには
ルナさんご実家の片山農園さんの蜜柑ジュースのお土産までいただき、
森の茶論さんに戻りました。
お料理教室もされている、奥様お手製のすばらしいお料理の数々に感嘆!そして蜜柑ジュース。
生きててしあわせ~とはこの事です。
今回の旅、本当に充実。
いろんなご縁、そして教えていただき、生きてる実感かみしめる。
当店のコンセプト「つくり手・つたえ手」は
日本のすばらしい生産者さんの作り上げたものを、伝えていきたいという想いをかけたものです。
微力ながら、小さいお店ながら、
このようなすばらしい品、今まで記事でご紹介した生産者さん含め、
皆さんにお伝えできる場所になれたら、こんなしあわせな事はありません。
この春、開店時にはこの月ヶ瀬健康茶園さんのお茶がいろいろ当店にて揃います。
お楽しみにしていて下さいね!
旅 其の一から其の三まで長文読んでいただき、ありがとうございました。